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2006年 09月 19日
横浜そごうの中にある、ホテルニューグランドのバー「シーガーディアンⅢ」でお茶をしてきました。
窓からは、台風の影響からか、雲は早く流れ、隙間から陽光がのぞいたり、一転して雨が降りしきったりと、刻々と変化する横浜を楽しみました。 その時、ふと三島由紀夫の『午後の曳航』を思い出しました。 横浜に住む、未亡人とその息子。 そんな二人きりの生活の中に現れた母親の恋人である船乗り。 息子やその仲間にとって、理想の大人像でもあった船乗り。 だが、ある出来事をきっかけに理想の大人が、単なる憎悪の対象へと変わってゆき・・・というお話。 子どもの心の微妙さを描いていて、妖しい美しさがありました。 と、私が語るより、本文を読んでみて下さい。 ------------------------------------- 以下引用 叉、彼は人生でただ一度だけ曾ふ無上の女との間には必ず死が介在して、二人ともそれと知らずに、それによつて宿命的に惹きつけられる、といふ彼の甘美な觀念、彼の脳裡にわけもなく育くまれてきた理想的な愛の形式についても語らなかった。 かういふパセティックな夢は、おそらく流行歌の誇張だつたらう。 が、いつしかこの夢は鞏固なものになり、彼の頭の中で、海の潮の暗い情念を、沖から寄せる海嘯の叫び声や、高まつて高まつて碎ける波の挫折や、どこまでも追ひかけてくる滿潮の暗い力や、…さういふものすべてと絡まり合ひ、融け合はされた。 龍二の目の前にゐる女がたしかにそれだと思つた。しかし口に出して言ふことはできなかつた。 彼が久しく誰にも言はずに夢みてきたこの大がかりな夢想のうちでは、彼が男らしさの極致にをり、女は女らしさの極致にゐて、お互に世界の果てから來て偶然にめぐり合ひ、死が彼らを結びつけるのだつた。 螢の光りや銅鑼などの安つぽい別離や、薄なさけの船員の戀なんぞから遠く離れて、彼らは人間のまだ誰も行つたことのない心の大海溝の奥底に下りてゆく筈だつた。 …が、こんなきちがひじみた考への片鱗をも、彼は房子に語ることができなかつた。その代りに、こんなことを言つた。 「永い航海の間には、賄ひ部屋へ一寸寄つて、そこに大根や蕪の葉がちらと見えるでせう。さういふ縁が、ひどく心にしみるものなんです。實際、そんなちつぽけな縁を禮讃したくなるんです」 「さうですね。わかるやうな気がするわ」
by 045gyu
| 2006-09-19 01:13
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